組合運営Q&A

V 管 理
【定款・規約・規定】
 
50 組合員資格の定款記載方法について
定款上組合員資格を明らかにするため「注」として詳細説明文を条文末尾に記入するのは正しいか。説明文を条文中に挿入すべきかどうか。
定款上組合員資格を記載するに当っては、「注」として条文の末尾に詳細に説明文を書くことは望ましくなく、本文中に具体的に、かつ明確に記載するようにされたい。

51 定款変更の効力発生時期について
中協法第51条第2項において「定款の変更は、行政庁の認可を受けなければならない。」と規定されているが、変更した場合、その効力の発生時期は、認可をしたときであるか、あるいは組合が変更議決をしたときに遡及するか。
定款変更の効力は、行政庁が認可をしたときに発生し、組合が定款変更を議決したときに遡及しないものと解する。
なお、効力発生時期をさらに厳密にいえば、定款変更の認可は、行政処分であるから、行政庁において決裁を終った日又は認可書を作成した日にその効力が発生するのではなく、認可があったことを組合が知り得たとき、すなわち認可書が組合に到着したときから効力が発生することになる。

52 法令の改廃等により当然変更する定款の変更手続について
  1. 法令の改廃により既存の定款の規定が当然に変更される場合の定款変更は、変更される定款の規定は法律上無効であるから、総会の議決を経ないでこれを変更することができるか。
  2. 事務所の所在地が、行政区画の変更により変更する場合等定款規定の中で事実に基礎を有するものは、その事実の変更により定款を変更する場合には、上述の理由により、総会の議決を必要としないか。
法令の改廃による定款変更であっても総会の議決並びに行政庁の認可は必要であり、行政区画の変更等に伴う定款変更についても同様と解する。

53 規則、規約等の定義について
協同組合の運営上、諸規約諸規程の設定は必要欠くべからざるものであるが、これらを作成するに当って次の原則的な説明と相違点並びにその使用される場合の事例をお知らせ願いたい。
  1. (1)規則とは
  2. (2)規約とは
  3. (3)規程とは
  4. (4)規定とは
規約、規程については必ずしも明確な区別はなく、混同して使用されているので、一般的に定義づけることは困難であるが、従来の習慣並びに字義により区別すれば大要次のとおりと思われる。
  1. (1)規則とは、広義に規則という場合、諸々の事項を規定した例えば定款とか規約とか、規程等を総称していわゆる「さだめ」をいうが、最狭義に規則という場合は国の立法機関としての国会以外の機関が制定する成文法(それらは名称を規則というだけで必ずしも法的性格を等しくするものではない)をいい、現在、最高裁判所や衆・参議院等特定の諸機関が規則制定権を認められている。なお各大臣が主任の行政事務について発する命令が規則という形であらわれていることもある。
  2. (2)規約とは、例えば協同組合等が組合の業務運営その他一定の事項に関し、組合と組合員間を規律する自治法規であって定款と同様、総会において決められるべき性質をもったもので、選挙規約、委員会規約、金融事業規約、共同購買事業規約等がある。
  3. (3)規程とは、例えば協同組合が組合の事務、会計その他に関して定める内部的な規律であって、主として事務遂行上必要な関係を規律する内規的なもので、理事会等に諮り決定し得る性質をもつもので、文書処理規程、服務規程、経理規程、給与規程等がある。
  4. (4)規定とは法律、定款、規則、規約、規程などの条文に定められている個々の内容をいい、普通は条文の内容を指すものと考えてよい。

54 組合諸規程の決定機関について
本組合では、組合運営に必要な規程類を現在作成中であるが、下記のものは総会の承認を得る必要があるものか、理事会の決定のみにてよいものか教示願いたい。


文書処理規程、服務規程、人事規程、給与規程、退職金規程、昇給規程、旅費規程

組合の文書処理規程、服務規程、人事規程、給与規程、退職金規程、旅費規程等主として組合の業務執行上必要な関係を規律する内規的なものの決定は、理事会の議決をもって足り、総会の議決を経る必要はない。
ただし、給与規程、退職金規程が常勤等の役員に適用される場合は、理事会の決定では事柄の性質上適当でないので、総会の議決を経て決定するのが望ましい。
なお、役員選挙規約、共同施設利用規約(実際には役員選挙規程、共同施設利用規程といっている場合が多い。)等組合の業務運営その他一定の事業執行に関し、組合と組合員間を規律する自治法規的なものについては総会の議決を経て決定しなければならない(中協法第34条参照)。
 
【役員】
 
55 役員定数について(1)
中協法第35条において役員の定数は「理事は3人以上、監事は1人以上」と定められているが、その定数の上限は第何条に規定されているのか。
例えばABCDの4法人が協同組合を組織するに当って理事、監事の定数の上限の決定の方法として、単記式投票によれば組合員1人1票の原則により理事、監事各々最大4人まで選出できることとなるが、連記式投票による場合は組合員総数を上回る多数の役員を選出することが可能になる。定款にて役員の定数は決定しているので単記、連記いずれを採用しても役員の総数は同一でなければならない。故にその両方の限度内で組合内容に適した方法で選ぶべきであると解釈してよいか。
中小企業等協同組合の役員の数は、中協法第33条1項第11号の規定により、定款の絶対的必要記載事項として、必ず、何人以上何人以内という定数で定款に定めなければならないことになっているが、その数は、同法第35条第2項に規定する数以上であれば、何人であろうと法令違反にはならない。
役員の定数を定める場合、設問のごとく単記式無記名投票によって選出し得る最大限の数(組合員数)を、その組合の理事及び監事の定数の上限として、その範囲内において、単記式、連記式のいずれかを採用すべきであると解して画一的に指導することは無理がある。設例のように組合員数が4人である組合においても、組合の業務運営において組合員数を上回る役員が必要とされる場合も考えられるので、指導としては当該組合の事業規模、役員の業務分担を考慮し、業務の迅速的確な遂行を妨げることとならないよう、必要、かつ、最小限度の役員の数を定め、その数を選出するについて、単記式、連記式のいずれを採用することが妥当であるか検討されるべきである。

56 役員定数について(2)
中協法第35条第7項に「理事又は監事のうち、その定数の3分の1を超えるものが欠けたときは、3月以内に補充しなければならない。」となっているが、
  1. (1)定数とは何を指すのか。
  2. (2)本組合の定款変更案では役員の定数及び選任について「本組合の役員は理事25人以上30人以内、監事3人又は4人とする。」としてあるが、この場合上限の理事30人の3分の1つまり10人まで欠けても補充選挙しなくともよいと解しているが如何、ただし25人と下限を決めているのでこの場合は5人まで欠けて25人になっても補充選挙の必要はないか。
    次に監事の場合上限4人の3分の1つまり1人を欠けても補充選挙の必要はないか。
  3. (3)法定数とは何か。この場合25人と解してよろしいか。
  1. (1)定数については従前は確定数をもって定めることとしたのであるが、役員の死亡等により欠員を生じた場合に、その都度選出することは、事実上不便を生ずることが多く、実感にそぐわない点もあるので「何人以上何人以内」を定数としている。
  2. (2)役員補充の場合における取扱いについては、中小企業庁では定款に記載した下限を基準とすることにしているので、設例の場合25人の3分の1以上、すなわち9人が欠け16人になった場合に補充選挙の必要が生じてくることになる。
    監事の場合も同様に下限の3人の3分の1以上が欠けた場合に補充義務が生ずることになる。
  3. (3)上述の趣旨から「何人以上何人以内」を法定数といい、設例の場合は「25人以上30人以内」が法定数であって、下限の25人をもって法定数とはいわない。

57 1法人から複数の役員を選出することについて
  1. 理事のうち組合員たる1法人の役員から複数の理事を選任できるか。
  2. 組合員たる1法人の役員から理事と監事を選任できるか。
  3. 上記の質疑1、2が合法的な場合、被選者1人を除き他は員外役員となるか否か。
  4. 質疑2の合法的な場合でも。
    1. (1)1法人でも1組合員であるので1組合員から理事と監事が出ることは役員の兼職禁止に抵触するとの意見
    2. (2)役員の就任は自然人(個人)として就任するので同一法人から出ても兼職とならないとの意見
    どちらが正しいか。
    なお、当組合の実際例については組合員たる1法人の代表取締役を理事に、他の平取締役を監事に選任する状況にある。
  1. 理事は、組合員たる1法人の役員から複数の理事を選任できる。
  2. 組合員たる1法人の役員から理事と監事を選任できる。
  3. 複数の組合役員を選任した場合、複数の組合役員は員内である。
  4. (2)のとおりである。すなわち、役員の就任は自然人として就任するので、同一法人から出ても兼職とはならない。

58 員外役員の定めのない組合が員外役員を置くことの可否について
協同組合が員外役員を置く場合、次のいずれをとるべきか。
  1. (1)員外理事を置く旨定款に定めなくとも、員外役員を置かない旨の規定がなければ、理事の定数の3分の1までは置くことができる。
  2. (2)員外役員を置く旨定款に定めなければ、員外役員は置けない。
設例については、法律解釈上は、理事の定数のうち3分の2までは必ず組合員又は組合員たる法人の役員であることを充せば貴見(1)のとおりであるが、貴見の(2)の見地を加味して、員外理事を置く場合は、定款には理事の定数の下限の3分の1以内において「何人」と確定数を記載することが員外役員に関する事項を明確にさせるうえから望ましい。

59 理事と組合との関係について
理事と組合との関係は民法第643条の委任によるものか。
中協法第35条の3の規定により、組合と役員(理事又は監事)との内部関係は民法上の委任契約に関する一連の規定が適用される。したがって、組合と理事との関係は当然に民法第643条から第656条までの規定に拠るところになる。

60 理事の辞任届の効力について
理事が辞任届を提出し、理事会に出席しないとき、その理事は理事会の決定事項について責任を負わなければならないか。
組合と理事との関係は委任関係であり、その委任関係の終了は相手方の承認を必要とせず一方的に終了させることができるので、理事は辞任届をもって理事を辞任したことになる。しかし、中協法第36条の2により、辞任により法定数を欠くときは、辞任した理事は、後任者が就任するまでは理事としての権利義務をもつから、このことに該当するにもかかわらず理事会に欠席した場合は、欠席した理事としての責任を負わなければならない。

61 役員の任期伸長規定を置くことの可否について
役員の任期が常に通常総会の終結の時をもって満了するように定款を変更することはできるか。
中協法では、第36条第1項及び第2項において、理事の任期を2年以内において定款で定める期間、監事の任期を4年以内において定款で定める期間と規定しており、さらに第36条第4項において定款に規定することによって任期中の最終の決算期に関する通常総会終結時まで任期を伸長することが可能としている。
よって、以下のとおり定款において規定することにより、設問のとおり通常総会の終結時をもって任期満了するように変更することは可能である。
(役員の任期)
第○条 役員の任期は、次のとおりとする。
  1. (1)理事 ○年又は任期中の第○回目の通常総会の終結時までのいずれか短い期間。ただし、就任後第○回目の通常総会が○年を過ぎて開催される場合にはその総会の終結時まで任期を伸長する。
  2. (2)監事 △年又は任期中の第△回目の通常総会の終結時までのいずれか短い期間。ただし、就任後第△回目の通常総会が△年を過ぎて開催される場合にはその総会の終結時まで任期を伸長する。

62 辞任した役員の残任義務について
組合の定款では、理事の定数を「6人以上8人以内」と定めており、当初総会で6人を選出していたが、今回1人の辞任者がでた。この辞任者については、中協法第36条の2により、残任義務があるとの解釈をしてよいか。
しかし、一方においては中協法第35条第7項では、一定の範囲内(下限の3分の1を超えない範囲)において補充義務を免除している。
本来、補充義務と残任義務とは表裏一体の関係にあり、一方を免除し一方のみを課すのは妥当とはいえない。また、補充義務だけを免除し、残任義務を課す合理的な理由も考えられない。
以上の理由から今回のケースについては、組合に補充義務もなければ、辞任者について残任義務はないものと判断される。
組合における理事の定数は、組合の規模、事業内容等に応じ組合の業務執行上必要な人数を定款で定めたものであり、常に定数を充たしておくべきものである。
理事の実員数が定款上の定数に不足することは、そのこと自体定款違反の状態であり、この場合、速やかに理事の欠員分を補充する手続をとらなければならない。
また、中協法が第35条第7項において、補充義務規定を置いている所以は、役員に欠員が生じた場合には、組合の業務運営上、早急に補充すべきであるが、特に欠員が3分の1を超えた場合には3ヶ月以内という期間を限って補充義務を法文上明確に示した点にある。すなわち、同項は決して定数の3分の1を超えた欠員が出るまでの補充義務を免除したものではない。
したがって、設例の場合は定款で定める理事定数(6人)を1人でも欠いた場合は、直ちに該当理事者に残任義務が発生するものというべきで、罰則を伴った補充義務規定がないことを理由にこれを否定すべきものではないと考える。
なお、定款において理事の定数に幅をもたせている場合において、下限の人員を選出すると、今回のような事態も生じやすく、「6人以上8人以内」として理事に2人の余裕をもたせた意味がなくなるので今後は定数の上限を選出するようにされたい。

63 役員任期の延長による現役員の任期について
役員の任期が定款変更により延長された場合に変更時の役員の任期については、変更時の役員は就任時の委任契約に基づくので、新たな任期に拘束されないとの説があるがどうか。
組合と役員との関係は委任契約であるが、定款は組合及び役員を拘束する法規性を有しているから、役員は委任契約よりも定款に拘束され、定款変更による延長された任期に従わなければならないと解する。

64 常任理事と表見代表との関係について
定款を改正するに当たり第〇条第○項において「理事のうち14人を常任理事」とすることとしているが、常任理事なる呼称は表見代表とみなされるか。
理事長、副理事長、専務理事及び常務理事等一般の社会通念上組合を代表する権限を有するものと認められる名称を付した理事は表見代表理事と認められる(中協法第36条の8で準用する会社法第354条)。常任理事についても同様に代表権ありと認められる名称と解されるので、表見代表とみなされるものと考える。

65 役員の責任とその解除について
  1. 代表理事の行った会議費及び交際費の使途につき、理事会、監事、総会において承認を受けたものが、その後(翌年)使途が組合に不要のものであることが判明した。これにつき、組合は損害賠償の請求ができるかどうか。
  2. 前項の行為は、代表理事の独断的行為であるが、損害賠償の場合は、当該代表理事の責任に止まるか。あるいは、理事、監事ともに連帯して賠償の責任があるか。
  3. 上記の行為を行った代表理事が、使途につき捏造した理由を付し弁明すれば、その行為はやむを得ないとすべきか。
  4. 理事、監事の決算書類に関する責任は総会後何年か。

1・2 会議費、交際費の支出は理事長の業務執行に属するもので、予め理事会で決定されるべき性質のものではなく、代表理事以外の理事については責任がないとする見方があるが、代表理事の業務執行といえども職務に違背する不当な行為については未然にこれを防止し、もって組合の利益を図るいわば監視の義務があるので、理事としてこの任務を懈怠し組合に損害を与えたとするならば、連帯して賠償する責任がある。
また、監事についても、善管義務を怠り計算書類の不正を看過した場合には、理事とともに連帯して損害賠償しなければならない。

  1. 交際費、会議費の使途について代表理事が捏造した理由を付したか否かに関しては、いわゆる道義上の問題として解決する場合は別として、理事の忠実義務違反に係る損害賠償請求の訴に伴う問題として裁判所が判断するものである。
  2. 理事及び監事の決算関係書類に関する責任は民法の一般原則(第167条第1項)に従い、10年の時効にかかることになっている。なお、理事、監事とも総組合員の同意があれば責任の免除ができることとなっている(中協法第38条の2第4項)。
 

66 破産宣告を受けた組合の理事の責任について
破産宣告を受けた組合の理事はどの程度の責任を負わねばならないか。
責任の程度は、破産までの組合事業運営上当該理事がどの程度任務懈怠があったかにかかっており、任務懈怠の範囲は理事会の決定から事業遂行までの間に任務懈怠があったかどうかである。そしてその懈怠の程度において損害賠償等の責任が決定される。

67 決算関係書類及び事業報告書の監査を監事が拒んだ場合の処理について
決算関係書類の監査を監事が拒んだ場合、監査報告書なしで総会の承認を得ることは可能か。これについて、次のように解釈するが差し支えないか。
(解釈)
監事を改選のうえ、改めて監査を行い監査報告書を付して承認を得るべきである。
中協法施行規則第91条第3項により、特定監事が通知をすべき日までに監査報告の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、決算関係書類及び事業報告書については、監事の監査を受けたものとみなすことが規定されており、監査報告書なしで総会の承認を得ることは可能である。

68 理事の兼職禁止規定の解釈について
中協法第37条第2項の理事の兼職禁止規定は、非常に理解し難い複雑な規定であるので例をあげて説明願いたい。
本規定の趣旨から説明すると、理事は理事会を構成して組合の業務の執行を決定し、あるいは代表理事となって決定された業務を現実に執行しなければならない等組合運営の首脳部たる地位にあるので、組合事業の経営、その他の組合運営に関し機密に属する事項等も詳細に知っているわけであるが、理事自体が組合事業又は組合員資格事業と実質的に競争関係にある事業を行っているとき(法人であるときは、その役員たる地位にあるとき)は、組合の業務運営を不利におとしいれることになり、組合の正常な発展を妨げたり、あるいは組合員に不利益をもたらすおそれがあるので、これを防止するために一定の競合関係にたつ者は、組合の理事となることを禁止したのである。
例をあげて第37条第2項の規定を説明すれば、
  1. (1)今、織物製造業者を組合員資格とする組合があり、その組合の共同事業として染色整理業及び原糸の共同購入事業を行っている場合を仮定する。この組合の原糸の共同購入事業を利用するために組合員となっているが、織物製造業を営みながら染色整理事業をも兼業して行ったとすれば、その者は組合員ではあるけれど理事への就任が禁止される。すなわち、組合の行う染色整理事業と例示した組合員の行う染色整理事業とは完全に競合するからである。
    なお、上記組合員が、組合員となっていない員外者である場合でも、同様の趣旨から員外理事として就任することは禁止される。
  2. (2)もし、この組合が織物製造業者と染色整理業者の両方を組合員資格として定款に定めていたとすれば、組合が染色整理の共同事業を行っていたとしても、例示した組合員の行う染色整理業は「組合員の資格として定款に定められる事業以外のもの」でなくなるので理事への就任が可能となる。
    なお、この場合に例示した者が員外者であるときは、第2号によって判断される。以上が第1号の説明であるが、第2号は員外理事のみに適用される規定である。
    理事になろうとする者が員外者である場合、(1)の場合であれば、織物製造業を行う者は、大企業である限り、この組合の員外理事に就任することが禁止される。(2)の場合であれば織物製造業を行う者も染色整理業を行う者も、大企業である限りこの組合の員外理事に就任することは禁止される。中小企業者であれば就任が禁止されないのは、たとえ員外者であっても組合員と同様の状態にあるものと考えてよいからである。なお「実質的に競争関係にある事業」とは、製造業と販売業あるいは卸売業と小売業のように縦の系列関係をいうのではなく、取扱商品が代替関係にある場合、例えば綿スフ織物と絹人絹織物あるいは布レインコートとビニールレインコート等を指すものと解している。
    以上の関係において、組合員において理事に就任できないのは、定款で定める資格事業以外の事業で組合の共同事業と競合する場合、その事業を行う者(法人である場合には、その役員)である。なお、非組合員においても同様である。
    また、上記以外の非組合員において理事に就任できないのは、組合員資格事業を行う又は組合員資格事業と実質的競争事業を行う大企業(個人又は法人の役員である場合には、その役員)である。

69 理事の自己契約及び議事録記載内容について
中協法第38条は理事の自己契約について規定されているが、問題点は次の項である。
  1. 理事の自己契約とは、民法第108条の規定の趣旨により、代表権を有する理事のみが対象となるのではないか。
    (注)組合と理事は委任関係にあるが、業務の執行については、代理人となっていない。
  2. 自己契約の内容について
    定款に規定された事業を理事が利用しようとする場合、第38条の規定による自己契約として理事会の承認を得る必要があるか。
  1. 自己契約の適用について
    本条の趣旨は、理事がその地位を利用し、私利を図るために組合に損害を与えるような契約を締結するのを防止することにある。したがって理事(代表権を有しない理事を含む)が組合と契約をする場合は、理事会の承認を受けることを必要としているわけで、この場合代表権を有する理事が契約の当事者であるときは、当事者たる個人の立場と組合の業務執行者たる立場とが一致するので、民法第108条に規定する自己契約禁止の一般原則に抵触することになるが、特に中協法第38条第2項後段において、その適用を除外することとしている。
    代表権を有しない理事については、組合と理事は委任関係にあるが、業務の執行については、代理人となっていないので代表権を有する理事以外の理事の組合との契約は、自己契約にもならないようにも解せられるが、本条において特に代表理事と限定していないこと及び立法の趣旨から鑑みて、また実際の組合運営上からも代表権を有すると否かとにかかわらず、理事が組合と契約を締結する場合は承認を受けるべきものと解される。
  2. 自己契約の内容について
    自己契約の内容としては、理事が組合から貸付を受け又は自分の設備を組合に貸し、あるいは他人の所有物をそのものの代理人として組合に売るように、組合を相手方とする一切の法律行為を指すが、組合と利害の衝突のおそれが全くない定型的な契約は承認を受けるべき契約の範囲から除外されるものと解する。
    したがって、定款に規定された事業を理事が利用しようとする場合もその事業の内容に応じて判断すべきであって、そのたびに承認を受けるべきであると解する。
 
【役員選挙】
 
70 役員定数を超過した投票の効力について
連記式投票をとる組合の役員選挙に際して、投票すべき役員数を超過して記載された投票(例、役員定数10人のところ12人記載)、あるいは投票すべき員数に達しなく記載された投票(例、役員定数10人のところ8人記載)の有効、無効について回答されたい。
なお、本組合には、定款には連記式投票制は明記してあるが、連記すべき数の規定がなく、また規約等にもそれがない。
選挙すべき役員数を超過した投票は、全部(記載された被選挙人員、設例では12人)無効である。
また、選挙すべき役員数に達しない投票については有効である。

71 ○×式による役員選挙方法の是非について
投票用紙に予め候補者全員の氏名を連記のうえ配布し、○×によって投票を行うことの可否。
差し支えない。

72 指名推選における選考委員の資格について
指名推選制の選考委員は、組合員でなければならないか。又は、員外役員あるいはその他の非組合員でも差し支えないか。
選考委員は、組合の性格からして組合員の中から選ぶのが適当と考えるが、組合員以外から選任しても違法ではないので、特別の事情があるときは組合員以外より選ぶこともやむを得ないであろう。

73 地区別・部会別等による役員選挙の是非について
総会の席上において、業種などによる部会別あるいは地区別に役員を選挙することは適法か。
中協法第35条第3項により、役員の選挙は「総会において選挙する」となっており、地区別あるいは部会別の選挙は総会における選挙とはならない。
また、この場合の総会とは、総会の開催されている会場のみを意味するのではなく、総会という機関そのものを意味していると解すべきであるから、設問の選挙が総会の席上であっても、部会別等による選挙は、部会別等に投票所を設けて行う選挙と実質的に変わりなく、総会という機関において行われたこととはならないので適法とみることはできない。

74 認可を受けない変更定款による役員選挙の効力について
役員の選挙に、指名推選の方法を取り入れるように総会において定款変更の議決をして、その直後に指名推選の方法により役員の選挙を行い、しかもこの指名推選の方法により選ばれた役員は、定款の変更につき行政庁の認可があった日に就任するものであることを同総会において確認した。
このような役員の改選は適法であるか否か。
定款の変更について行政庁の認可があった日に就任する旨の停止条件が付された役員の改選であるから、適法であると解する。

75 認可を受けない変更定款により役員選挙が行われた場合の定款変更認可方針について
総会において役員の定数の変更を議決すると同時に、定款の変更に伴う行政庁の認可をまたずして、同日直ちに議決された新しい定数によるところの役員の選挙を行い、その状況を記入した議事録を添付した役員定数の変更の定款変更認可申請書を行政庁に提出してきた場合、どのような指導をすべきか。
設問のごとく、役員の定数の増加につき定款の変更を議決した総会において、行政庁の認可をまたず、直ちに増員分の役員を含めた役員の全員の選挙を行おうとする場合は、次の方法によれば有効と解される。
  1. 定款変更前の定数による役員の選挙と増員分の役員の選挙とを区別して行うこととし、定款変更前の定数による部分の役員は、直ちに就任し、増員分の役員は選挙の際に定款の変更につき行政庁の認可を受けた日から就任する旨の停止条件を付しておき(停止条件を付した旨は議事録に明確に記載することを要する)、その条件が満たされた日、すなわち行政庁の認可のあった日に就任する。
  2. 定款変更による増員分を含めた全役員の選挙を一括して行うこととし、その際に役員の全員につき1に述べたような停止条件を付し、その条件が満たされた日に就任する。

76 定数に満たない役員選挙等について
定款上理事の定数が「18名以上20名以内」と定められている組合において無記名投票により役員の選挙を行ったが、15名しか選出されなかった。この場合どのような処理を行うべきか。
選ばれた15名は役員として有効である。ただし、定数に満たないから、残りの人数について、当該総会において、総会の続会の議決を行っておき、後日選挙を再度行うか、新たに総会を開催して、残りの3名分について選挙をやり直す必要がある。この場合、不足分を選ぶ総会は可及的速やかに開催される必要がある。
なお、このまま残りの役員の選出を行わないで、いつまでも15人のままでいることは定款違反となるので、行政庁における業務改善命令の対象となり得る。また、役員候補者が定数に満たないような組合においては、定款改正を行い、実情にあった定数にする必要があろう。

77 繰上げ当選について
総会において、理事の選挙を行い、総会終了後、理事当選者に対し、就任方を依頼したが、就任を辞退した者があり、この場合次点者を繰上げて理事当選者にすべきか、又は新たに選挙をしなおすべきか。
総会において選挙を行い、当選した理事が就任を辞退したときは定款又は役員選挙規約等により次点者繰上げの定めのあるとき以外は、定数を欠く員数分の理事について新たに選挙をし、補充すべきであると考える。

78 任期満了前の役員選挙について
事業協同組合において、任期満了前に役員の改選を行う場合に次の点をご教示願いたい。
  1. (1)任期満了前に改選のための役員選挙を行うことは問題があるか。
  2. (2)前項に問題がないとすれば、その選挙の期日は任期満了前の何日以内とすべきか。
  1. (1)新たに選出された役員は、前役員が辞任しない限り、前役員の任期が終了するまで役員に就任せず、任期満了の翌日に初めて就任することになるわけであるから、前任者の任期満了前に新役員を選出しておくことは何ら差し支えない。
  2. (2)任期満了前の何日以内に開催しなければならないかということについては、定説がないので任期満了日に近い期間に行うのが適当である。その期間は、任期満了日に近い期間内で組合の実情を勘案して決定し、規約などに定めておくことも一案である。
 
【理事会】
 
79 理事の代理人による理事会出席について
組合の理事が理事会に出席できない時は、代理人を参加させることができるか。
組合の理事は個人的信頼に基づき選任され、かつ、組合と委任契約を締結した者であるから、その権利の行使及び義務の履行は、理事自らの意思及び行為として行われるべきである。
また、中協法第36条の6第3項においては、組合が特に定款に定めた場合には書面によって理事会の決議に参加することができるとしていることの反対解釈から、理事は、代理人によって議決権を行使することはできないと解する。
 
80 理事会に欠席した理事の責任について
現理事で、理事会に出席するつもりだったが、急に出張等の都合で出席できず、また書面議決書も提出しなかった場合、理事会の決定事項については賛成したものとみなされるか、あるいは全然無関係とみなされるか。もし賛成したものとみなされるならば、反対の意思表示をしない限り出席しようが、欠席しようが同様であるとの解釈になるのではないか。
理事会に欠席した者は、決定事項について賛成したものとはみなされず、したがって、その決定の段階までは責任はない。
しかし、理事は、組合の業務について、監視の義務があり、理事会が開催されたこと、また当該決定がなされたことを知っていながら、決定から執行までの段階で、これを止むべき何らの措置をとらなかったときは、理事としての一般的任務懈怠の責任は免れ得ない。
 
【総会】
 
81 総会の議長を複数制にすることについて
  1. 総会の議長は、必ず1人でなければならないか、その理由は。
  2. 複数でもよいとすれば、実際問題としてその運用を如何にすべきか。
  1. 総会の議長については、中協法に必ず1人でなければならないという規定はないので、実施組合は皆無と思うが、複数制をとっても法律違反にはならないと解する。
  2. しかし、議長は、会議体としての総会を代表し、その議事を主宰する職務を有するものであるから、これを複数にすることは議長団内部の意思統一や調整が必要となり、実際問題としてその統一が困難となる場合も考えられ、議事の円滑な進行を阻害することともなりかねないので、1人であることが望まれる。
    特殊の事情等により複数制をとらざるを得ない場合には、できるだけ数を少なくするとともに、議長間で合議制をとるようにすることが必要であり、また、議長間で職務の分担が可能な場合はそれを明確に規定するとか、可否同数の場合の決定権の行使を考慮し議長の意思統一が円滑でないと予想されるときはこれを奇数とすることなども考慮すべきであろう。

82 瑕疵がある場合の総会議決の効力について
次のような瑕疵がある場合の総会議決の効力、及び行政庁のとるべき措置をご教示願いたい。なお、当該議決に基づく定款変更については、認可済みである。
  1. 中協法第10条第3項の限度を超える出資を架空組合員名義に分割するとともに、当該架空組合員の書面議決を議決数に加えた。
  2. 持分払戻済の脱退者について、書面議決書を作成、議決権数に加えた。
  3. 中協法第53条の特別議決に適合させるため、1、2の作為により法定議決権数を確保する体裁を整えた。
  4. ただし架空組合員の出席数及び議決権数を除いても、法定要件は満たしている。
総会の議事において、架空組合員の書面議決を議決数に加える等、法令に違反する事実があったとしても、行政庁による定款変更の認可に当たっては、その事実を知り得なかったものであり、議事録等必要書類により適当と認めて認可したものであれば一応形式的には適法に認可されたものと解する。
しかしながら、上記法令違反を発見した場合は、中協法第54条において準用する会社法第831条の規定により組合員又は理事は議決の日から3月以内に議決取消の訴えを提起することができることになっているが、かかる法令違反は、刑法上の私文書偽造にも該当するおそれがあり、行政庁は、かかる法令違反については、中協法第106条の規定による業務改善命令を発動する等速やかに所要の措置を講ずる必要があると考える。

83 総会の延期・続行手続について
総会の会日中に、何らかの理由により議事を終了できないときは、他の日に延期又は続行することができるということを聞いた。総会の延期と続行とはどのように違うのか。また、次のような手続に問題はないか。
  1. (1)議事の進行状況からみて、会日中に議事が終了しないことが明らかな場合、議場に諮らず議長単独の判断で総会続行の決定をすることができるか。
  2. (2)総会の席上では、会場確保等の関係から後日の総会の日時や場所を決定することが難しいと思われる。日時、場所の決定を議長に一任し、決定し次第速やかに組合員に連絡することとしても問題はないか。
  3. (3)延期又は続行する総会の開催日時を、場所の確保等の理由から、当初の総会日から1ヶ月程度先の日に定めても構わないか。
総会においては延期又は続行の議決をすることができ、その場合改めて総会招集の手続は要しないとされている(中協法第53条の3)。
ここにいう延期とは、総会の成立後、議事に入らず、会日を後日に変更することをいい、続行とは、議事に入った後、時間の不足その他の事由により審議未了のまま総会を中断し、残りの議事を後日に継続することをいう。この延期又は続行の議決に基づき後日開かれる総会は通常、継続会といわれている。
このような制度が設けられているのは、何らかの都合により総会を延期又は続行しなければならなくなった場合、総会の招集手続を繰り返さなければならないという煩わしさが生じることを避けるためである。
  1. (1)総会の延期又は続行は総会の決議を要件としているから、総会の議決を経ず、議長の判断のみで延期又は続行を決定することはできない。ただし、この議決は議案そのものに関する議決ではなく、一種の議事進行に関する決議であるから、あらかじめ招集通知に議題として記載されている必要がないことは当然である。
  2. (2)継続会と当初の総会とは同一性を有していなければならない。そのためには、総会の延期又は続行の議決において、原則として、後日の継続会の日時及び場所を定めることが必要で、期日を定めず、単に総会を後日に延ばすときには、総会は同一性を保ち得ず、改めて招集通知が必要になるとされている。
    しかし、実際上会場の都合などで、総会の席上では具体的に決定し得ない場合もあり得る。その場合、総会が日時、場所の決定を議長に一任し、総会終了後速やかに通知せしめることを議決した時には、総会において日時、場所を定めたものとして有効な延期又は続行の決議がなされたものと解することができる。
    なお、この場合、議長の通知は、延期又は続行の趣旨からして、当初の総会出席組合員(書面、代理を含む)に対してすれば足りると解されている。
  3. (3)この制度が設けられた趣旨からして、継続会は当初の総会の会日から相当の期間内に開かれることを要する。なぜなら、相当の期間経過後であれば、総会招集の手続をすることが十分可能であるからである。このような解釈から、相当の期間内というのは、総会招集通知に必要な10日間以内と解するのが妥当とされている。1ヶ月も先の日時に開催することは、明らかに継続会とはいえず、改めて総会招集の手続が必要になると考えられる。
 
【委任状・代理人】
 
84 総会における白紙委任状の取扱いについて
総会における白紙委任状について、次の点をご教示願いたい。
  1. (1)白紙委任状は、総会に出席しない組合員が理事長又は総会の議長に議決権の行使を一任したものとして、数に制限なく、これを理事長又は議長の議決権行使の数に加えることができるか。
  2. (2)理事長又は議長の代理権行使の数が制限されるとすれば、理事長又は議長は、他の理事又は他の組合員に委任状行使を依頼することができるか。
  3. (3)白紙委任状は、そのままでは無効であり、必ず代理人の氏名が記入されていることが必要であるならば、いつまでに代理人を決め、有効なものにしておくべきか。
  4. (4)代理人の代理できる数以上に委任状がある場合は、どう処理すればよいか。
白紙委任状と呼ばれるものは、組合が組合員に対して総会招集の通知とともに議決権代理行使の委任状用紙を送付し、その代理権の授与を勧誘するものであり、通常は、総会に出席しない組合員が議決権を行使すべき代理人を特定しないで白紙にして組合に送付されるものである。このように、白紙委任状は、委任状作成者(委任者)が受任者となる人を特定せずに、記載の一定事務の処理及びこれに要する代理権授与の申込みをし、これの取得者が白紙の部分に受任者として自己の名を記入することによって両者間に契約が成立し、受任者としての権利義務と代理権を取得するものである。
  1. (1)白紙委任状は、総会の開催、議案の提出、議決権の確認その他総会に関して全般の責任をもつ理事長に代理人の選任を一任したものであって、理事長又は議長に議決権の行使を一任したものではないと解されるので、これを理事長がすべて行使することは許されない。理事長が組合員の代理権を行使できるのは、組合員である場合に限られるが、一般の組合員と同様に4人までに制限される。
    なお、議長については、そもそも総会の議決に加わる権利を有しないから、権利のない者に議決権の行使を委任することはあり得ないことであるし、また、議長は総会において選任されるが、議決権数(総会の定足数)の確認の必要上、その選任前に代理人が指定されていなければならないので議長が代理人の選定をすることはあり得ないものと解される。
  2. (2)このように、白紙委任状は、中協法第11条第2項後段及びこれに基づいて定款で規定した代理人となり得る者の範囲内において、理事長に代理権を行使すべき者の選定を一任したものと解されるから、理事長が組合員の中から受任者を選定し、その組合員に代理権の行使を委任することは問題ない。
    ただし、他の理事に委任しようとする場合は、その理事が組合員であることを要する。
  3. (3)白紙委任状は、白紙の箇所が補完されて初めて委任状としての効力を発するものであるから、総会において行使される際には、代理権を行使する者の氏名が記入されていなければならない。この代理人の決定は、議決権行使の時(厳密に言えば、議決権数(総会の定足数)の確認時)までになされれば有効であると考える。
  4. (4)代理人の代理できる数を超える部分の委任状は無効となり、したがって出席者数にも算入されないものと解される。

85 委任状による代理制限について
  1. 中小企業等協同組合における総会の場合の委任状は、出席者1人につき2人までの委任を受けることができるとし、それ以上の委任を受けることができないという規定ができるか。
  2. 総会に出席しない組合員が被委任者の氏名を記入せず、組合又は理事長あての提出の委任状は数に制限なく理事長、又は総会の議長に一任されたものとして、議決権行使の数に加えることができるか。
  3. 上記委任状も問1同様2人までしか代理ができないとすれば他の委任状を如何に処理すべきか。
  4. 問3の場合、理事長又は議長は、他の理事又は他の組合員に委任権行使を依頼することができるか。
  5. 以上のほか、委任状に対する効力上如何なる制限があるか。
1については、中協法第11条第5項で定められているように代理人が代理し得る組合員の数は4人までとなっているが、同条第2項では、「定款の定めるところにより」代理人に議決権又は選挙権を行使させるべき旨が定められているので、上に述べた4人までの制限をさらに定款で縮小することができるものと解される。したがって、貴組合の定款で代理人が代理し得る組合員の数を2人までとする旨を規定すれば、これに従わなければならない。
2については、代理人の氏名が記載されていない、いわゆる白紙委任状は理事長に代理人の選定を依頼したものであって理事長又は議長に議決権の行使を一任したものではないと解されるから、設問のごとく理事長又は議長がこれを適当に議決権の数に算入することは許されないし、またこれが総会において行使される際には、代理人の氏名が記入されていなければ代理権を証する書面としての効力がないことになる。
3については、1に述べた数を超える部分の委任状は無効となる。
4については、2に述べた白紙委任状の場合、これを中協法第11条第2項後段及びこれに基づいて定款で規定した代理人となり得る者の範囲内において理事長に代理権を行使すべき者の選定を一任したものと解してよい。したがって、他の組合員に委任する場合は問題がないが、他の理事に委任しようとする場合は、その理事が組合員でなければならないことになる。なお議長は総会において選任される者であるから、その選任前に代理人が指定されていなければならないので、議長が代理人の選定をすることはあり得ないものと解する。
5については、特にない。

86 議長の委任状行使について
事業協同組合の総会の議長は、委任状を受けられるか。
中協法第52条第3項の規定により議長は議決権を有しない。したがって委任状による議決権の行使はできない。

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