組合運営Q&A

IV 設 立
【設立発起人】
 
45 小規模事業者でない者の発起行為について
中協法は、小規模の事業者でないものの加入に関しては法第7条第3項に規定しているが、発起人に関しては何等規定がない。小規模の事業者でないものは発起人となり得ないと解すべきか。又は発起人として設立の手続を完了し成立した日から30日以内に所定の届出を公正取引委員会に行い、その認定を待ってよいと解すべきか。
発起人は、中協法第24条第1項の規定により、組合員になろうとする者でなければならないことになっているので、組合員資格を有する者であれば発起人となることができる。
事業協同組合の組合員資格を有する者は、中協法第8条第1項に規定する小規模の事業者であり、設例の事業者がこの小規模の事業者に該当するかどうかは、専ら実態判断によるべきで、300人を超え、資本金が3億円を超えているからといって直ちに小規模の事業者でないと速断することは適当でない。
貴方の判断でこの事業者が小規模の事業者であり、定款の資格事業を行う者であるならば当然組合員資格を有することになり、したがって組合の設立の発起人になり得るのである。

46 法人が設立発起人となる場合の諸手続について
協同組合の設立発起人に法人がなる場合、設立認可申請書等に署名する発起人の住所、氏名欄には法人の住所、法人名の記載のみで足りるかどうか。
設立発起人となるものは法人自体であって法人の役員個人ではない。したがって、設立認可申請書等の発起人の署名欄には、法人の住所、法人名を記載するとともに、代表者氏名が必要である。
法人というのは、自然人以外のもので法律上「人」として権利義務の主体となり得る能力を認められた団体又は財団であるから、その行為能力は自然人の力を借りなければならない。したがって法人名のみでなく代表者の氏名が必要となるのである。
 
【創立総会】
 
47 創立総会の開催公告期間について
ある協同組合の創立総会に当たって、11月7日に総会開催の公告をし、同21日に総会を開催したが、この期間は適法であるか。
創立総会開催の公告期間については、中協法第27条2項に「前項の公告は、会議開催日の少なくとも2週間前までにしなければならない。」とあるが、その期間計算方法について中協法に特に規定されていない。株式会社の株主総会の招集通知について、「会日の2週間前にとは、間2週間の意と解する」との判例(昭和10.7.15.大審院判決)があり、また会日と招集通知との間2週間をおかない招集手続を違法とした判例(昭和25.7.7.東京地裁判決)があり、会社に関してはこの解釈が一般的であるので、ご照会の公告期間は適当ではなく、設問の場合は11月6日以前に開催公告をする必要がある。

48 創立総会における発起人の議決権行使について
中協法第27条(創立総会)第5項は中小企業等協同組合の創立総会の議事について「創立総会の議事は,組合員たる資格を有する者で、その会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席して、その議決権の3分の2以上で決する」と規定されている。
この規定によれば創立総会において議決権を行使する者は設立同意者のみで、発起人の議決権の行使は認められないものと解される。
したがって、設立同意者が数名以上ある場合は問題に生じないが、例えば、組合員たる資格を有し、かつ、設立と同時に組合員になろうとする意思のある者が、中協法第24条(発起人)第1項の規定により全員発起人となり、しかも他に設立同意者がない場合は前記法第27条の規定による設立同意者の出席は不可能となり、したがって創立総会における議事決定は不可能となるものと解釈される。
以上のような全員発起人による組合設立の場合には会社の発起設立の場合と同様創立総会の開催を必要としないものと解されるが、この見解が正しいかどうか、もし正しくないとすればこの場合の創立総会における議事及び運営の取扱いについてご教示をいただきたい。
中協法第24条第1項並びに第27条第3項及び第5項の趣旨からして、発起人も設立同意者として創立総会において議決権を行使することができるものと解される。
また創立総会が設立行為における不可欠の要件ともなっているので設問のように、発起人のみによる組合の設立に際しては、創立総会の開催を必要としないとする解釈は成り立たないと考える。
 
【その他】
 
49 設立無効の訴えについて
違法の手続により成立した組合に、成立後加入した組合員又は成立後就任した理事が中協法第32条に規定する設立無効の訴えを提起することができるか。その場合、組合の設立手続等が違法であったことを承知していた場合と全然知らなかった組合とで差違が生ずるのかご教示願いたい。
設立無効の訴えは会社法第828条の準用により、組合員又は理事に限られ、提訴の期間は、組合成立の日より2年以内とされているが、提訴者が設立後加入した組合員等を含むか否かは、同条第2項においても別段の制限もないので、この訴えは設立当時の組合員又は理事に限定されないものと解する。
また、その組合員又は理事が組合加入前又は理事が就任前に違法の事実を承知していると否とにかかわらず、設立無効の訴えを提起することはできるものと解する。

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