中央会からのお知らせ

2023年10月03日

京都府中小企業団体中央会 新しい働き方検討委員会 「働きやすい・働きがいのある職場づくり」アンケート結果報告

1.調査趣旨
  令和4年7月に新しい働き方検討委員会を設置し、コロナ禍後の京都の中小企業の新しい働き方につい
 て議論を重ねた結果、「働きやすい・働きがいのある職場づくり」を進めることが、自社の強み、魅力
 度アップ、ひいては人材確保に繋がると考え、京都の中小企業の現状を把握し、「見える化」を図るた
 め経営者向け、従業員向けのアンケートを実施しました。

2.調査概要
  期間 : 令和5年7月20日(木)~8月31日(木)
  対象 : 府内の全ての中小企業・小規模事業者の経営者及び従業員
  回答方法 : WEB回答方式

3.回答数
  経営者 293名(293事業所)  従業員 1,403名(194事業所)

4.調査結果報告
 <経営者と従業員の比較> 
  全体的な比較では、「D.研修・人材育成」を除き、全項目で経営者の評価は従業員を上回り、特に、 
 「B労務管理・職場環境」、「E 事業所や職場の風土」の項目において、大きな乖離が見られる等、経
 営者の自己評価ほどには従業員は満足していない実態が窺えた。また、「D研修・人材育成」は経営者、
 従業員ともに評価が低く、両者ともに課題ありと考えていることが見て取れた。 

        グラフ① 1.png

<業種別の従業員意識調査>
(1)製造業:従業員の回答から勤務時間や仕事の内容、人員不足による負担感が強いことが窺われる一
       方で、仕事と子育て等、個々の従業員の事情に対応した多様な働き方に対応できる職場
       が他の業種に比べて多い傾向にあることが見て取れた。
(2)建設業:他の業種に比べて現場からの意見や提案を吸い上げるシステムやコミュニケーションが取
       りづらい職場環境であることが窺えた。
(3)卸売業:全業種の中で最も経営者と従業員の評価に乖離があった。特に「A 情報共有・コミュニケ
       ーション」には2点以上の乖離があり、職場内の経営者・従業員間の距離が感じられた。
(4)小売業:「F 従業員と経営者の意識」が他業種と比して点数が高く、経営者と従業員の意思疎通が
       図れている事業所が多い傾向にある。また、「仕事に誇りや喜びを感じている」「職場
       に愛着があり、長く勤めたい」は全業種を通じて最も高い点数であった。
(5)サービス業:全ての項目において全体平均を上回った。合計点も全業種で最も高く、働きやすい・
         働きがいのある職場が多い傾向の業種であると言える。

<事業所規模別の経営者と従業員の比較>
 事業所の規模(5名以下、10名以下、20名以下、50名以下、99名以下、299名以下)に関係なく、経営者の評価が従業員より高い傾向にあるほか、従業員の評価は事業所規模の小さい5名以下、10名以下が高く、事業所の規模が小さくても、従業員が「働きやすさ・働きがい」を感じていることが窺える。一方で50名以上99名以下、100名以上299名以下の規模の大きい事業所では従業員の評価は下がる傾向となり、逆に経営者の評価は事業所規模が大きくなるにつれて高くなっている。
 経営者と従業員の乖離についても、事業所規模が大きくなるに比例して大きくなっており、事業所規模と経営者・従業員の関係が関連していることが窺えた。

グラフ② 2.png

<「働きやすさ」・「働きがい」について>(従業員の年代別での意識)
 「働きやすさ」について、全年代を通じて「職場の人間関係が良好である」ことを最重視している。全回答者のうち7割を超えた方が選択しており、絶対的な要件となっている。二番目に重視するのは、30代以下では「残業が少なく、有給休暇が取得しやすい」という生活面を重視した傾向が窺われる。

 グラフ③ 3.png

 「働きがい」については、全年代を通じて「仕事に誇りややりがいを感じる」を最も重視している。特に現役中心世代の40代50代で高い傾向にある。二番目に重視するのは「仕事に達成感がある」で10-20代、40代で高い傾向にある。一方で30代以下の若手は「成長や挑戦できる環境がある」を重視する傾向が他の年代よりも高く、将来にわたりチャレンジしたいとの意欲の表れが見てとれる。

 グラフ④ 4.png

<「働きやすい・働きがいのある職場づくり」について>
 また、今回の調査では、本音の声を拾うため、経営者と従業員のそれぞれに自由記載欄を設けた。
 経営者に「働きやすい・働きがいのある職場づくり」に対して力を入れていることや課題について問うたところ、「従業員とのコミュニケーション重視」、「評価制度を導入して給与、賞与への反映」、「職場環境の整備」、「有給休暇取得の促進」などに力を入れているとの声が多くあった。
 一方で、「少人数職場では、人間関係を保つため処遇に極端な差は付けられない」、「より公平な人事考課査定にしたいが難易度が高い」等々、実態と現実との間で経営者としてのジレンマも見て取れた。

 従業員には「働きがいを高めるため会社に対して希望すること」を問うたところ、特に「公平で公正な評価を求める声」が多かった。他にも「自分が会社に必要とされている認識を持ちたいし、そのためにも経営者層ともっとコミュニケーションを取りたい」などの声もあり、経営者層が思っているほど従業員はコミュニケーションが取れていないと感じている傾向が窺えた。

 新しい働き方検討委員会としては、今回のアンケート調査で見えてきた京都の中小企業の課題に対して、令和6年6月までの当委員会設置終了期限までに、具体的に前へ進める施策の実施が出来るよう、協議・検討を進めてまいります。

                                       

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