組合の規約 | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8. 規約・規程の形式 規約・規程は、対象とする事項ごとに、できるだけ別個に作成することが望ましく、すべての事項について総合的、包括的に「○○組合規約」又は「○○組合規程」といったように設定することは望ましくない。したがって、事業規約ならば各種事業ごとに「○○事業規約」又は「○○事業利用規約」といったように独立した規約・規程を作成すべきである。 規約・規程の構成は、法令、定款等にならって、一般的総則規定からはじめて、中心的、具体的事項に関する規定を軸に、最後に補足的、補充的規定で終えることになる。 また各条文は、同一事項に関するもののみでまとめ、一つの条文に異なった内容のものを併合させることのないように注意しなければならない。また、編、章、節、款を設けた場合は、各編、章、節、款ごとに題名をつけ、それぞれの内容が一目見て判定できるようにし、各条文にもそれぞれ見出しをつけて、理解、納得のためだけでなく、索引にも便利になるようにすることと文書化に当たっては、横書きにすることが望ましい。 (1)題名 規約・規程の題名は、その内容を簡潔にしかも的確に示すものでなければならない。その場合、題名と併せて、主題部右上にその規約・規程が設定あるいは変更された年月日を必ず明記することが望ましい。題名は4字目から書き出し、それが2行以上にわたるときは1行目と初字をそろえる(記載例1)。 (2)目次 規約・規程について章、節等の区分をした場合には、必ず題名のすぐ次にその章節等の目次をつけるのが望ましい。目次には、目次の章名(章を更に節、款等に小区分したときには、その最小単の節名、款名等)の次にその章、節、款等に属する条文の範囲を(第○条~第○条)というように、かっこ書して記載する。その章、節、款等に属する条文が一つしかない場合はもちろんその1条だけを掲げ、条文が2つだけの場合には(第○条・第○条)というように「・」でその間をつないで書く。付則については、それが条に分かれている場合でも、項に分かれている場合でも、それらの条文を示すかっこ書はつけなくてよい(記載例1)。 〔記載例1〕
規約・規程を作成する場合には、単に「わかればよい」ということではなしに、上に示したような基準にしたがって、規約・規程全体の体裁を整えるように努力すべきである。しかし、それぞれの業種に特殊な専門用語や技術用語については、それらをすべて上記の基準に当てはめて使用することは難しく、無理に他の用字におきかえては、かえってその意味が不明瞭ものとなることもあろう。したがって、そのような場合、例外的にせよ上記基準外の用字を使用しても差し支えない。また同意語や似た意味のいくつかの用語例のあるものは、できるだけこれを整理統一して使用することも肝要である。
一定の方針を示すために用いる。この表現には「……しなければならない。」という義務づけがないわけではなく、時によってはこれと全く同義語として使われることもある(「弁明する機会を与えるものとする。」)が、一般的にはある種の含みをもたせつつ、原則とか方針を示すという意味が強い場合に多く用いられる。(「持分の計算に当てっては、10円未満の端数は切り捨てるものとする。」)
特定の効力を与えるために用いる(「役員の任期は、次のとおりとする。」)。例えば中協法第4条において「組合は、法人とする。」という場合、この規定の意味は「組合に、法人としての法律上の人格を与える。」ということであり、ここでの「……とする。」という用語は、特定の効力(法人格)を与えるという含みをもった説明語として用いられている。このように「……とする。」という用語は、創設的意味をもつものであり、単なる事実の説明に止まる「……である。」という表現とは異なる意味を持っている。
一定の者に、特定の行為をすることができる権能を与える旨を示す用語であり(「組合員は、90日前までに予告し、事業年度の終わりにおいて脱退することができる。」)、その権能(この事例の場合は脱退という権能)を行使するか否かはその者の裁量に委ねられる。「……する。」が、その者の意思いかんにかかわりなく、特定の効果を発生させる(「組合員は、左の事由によって脱退する。」)ために用いられるのとは異なる。
この表現は、「ただし……この限りでない。」というように、ただし書の述語として、本文の規定の除外例を示すために用いられる(「加入の承諾を得た者は、遅滞なくその引き受けようとする出資の全額の払込みをしなければならない。ただし持分の全部又は一部を承継することによる場合は、この限りでない。」)。 この表現を用いる場合は、どのような意味で「ただし……この限りでない。」なのか、解釈適用上誤解の生じないように、主条文の適用規定及びその条件を明示しなければならない。なお、この表現は、単に消極的にその前に出てくる規定又は文章を打ち消すだけのものであって、それ以上に積極的に何か新しいことをいうものではない。したがって、その用い方に注意しないと、「この限りでない。」という用語で打ち消された後のことがらについて、条文のいわんとするところがあいまいになる可能性がでてくる恐れがある。
「妨げない。」又は「妨げるものではない。」という言葉は、あることがらについてAという規定が設けられた結果、そのことがらについて本来適用されていた、他のBという制度や規約の規定が、排除されることになったのか、それとも依然として適用されるのか若干疑問があるという場合に、依然として当該のBという制度なり、また規約の規定なりが、そのことがらについて適用されるのだということを表わすのに用いられる。この用語も消極的に、ある制度又は規定の適用があってもよいということをいっているだけで、積極的に、こうでなければならないということを表わすほどの意味はない(「現物出資者は、第1回の払込の期日に、出資の目的たる財産の全部を給付しなければならない。ただし、登記、登録、その他権利の設定又は移転をもって第三者に対抗するため必要な行為は、組合成立の後にすることを妨げない。」)。
「準用する。」とは、特定の事項に関して定められている規定を、その事項とは性格の異なる他の事項について適用するということで、場合によってはもとになる規定の一部に修正を加えた上で、準用することもある。しかし、組合の規約・規程においては、当該規約の理解を容易にし、解釈上の疑義を避けるためにも、ある程度の重複はいとわずに、できるだけ条文の準用は避け、同一内容の条文であっても、改めて規定する方がよいであろう。
この表現は、ある特定の事項について定められている規定の内容を、そのまま他の場合に当てはめて適用するときに用いるもので、「……を準用する。」とほぼ同意義である。 ただ「準用」と異なる点は、「準用」の場合には、そこに示された規定のみが対象となるのに対し、「……の例による。」の場合には、そこに示されている一定の手続なり事項なりが包括的に、その場合に当てはめられて適用されるということである。
A・B二つの名詞などがある場合にこれを併合的に並列する場合は、AとBの間に「及び」をおいて用い(A及びB)、三つ以上の併合的意味をもつ名詞などを、同一の意味の叙述において並列するときには、並べられた名詞的語句のうち最後の語句だけを「及び」で結び、その前におかれる語句は読点「、」でつなぐ(A、B、C及びD)。更に、並列される語句の間に段階のある複雑な文章では、大きな意味の併合的連結には「並び」を、その大きな意味にまとめられた中で並列されている語句のつなぎには「及び」を用いる(「A及びB並びに甲及び乙」、「理事及び監事」、「理事長、副理事長及び専務理事」、「可決、否決の別及び賛否の議決権数並びに賛成した理事の氏名」、「会議の目的たる事項及びその内容並びに日時及び場所を記載した書面」)。
「又は」と「及び」とでは、前者は選択的接続詞であり、後者は併合的接続詞であって、両者の意味が異なることはいうまでもないが、実際に使用しようとする場合、そのどちらを使用すべきか迷うことが多い。まず英語の「and、(or)」に当たる場合、すなわち「又は」と「及び」の両方の意味を与えようという場合には、原則として「又は」が用いられる。次に、AもBもCのことをしてはならないという場合に、「A及びB」と書くか、「A又はC」と書くかは、結局は語感によって決するほかはないが、AとBとを抽象的、包括的にとらえようとする場合は「A又はB」ではなく「A及びBはCのことをしてはならない。」とする例の方が多いようである。特に「AもBもC又はDのことをしてはならない。」という場合は本来A→C、A→D、B→C、B→Dという関係であるが、この場合に「A又はBは、C又はDのことをしてはならない。」とすると、「AはCのことをしてはならないし、BはDのことをしてはならない。」というA→C、B→Dの関係にとられるおそれがある。そこで前者のような関係を規定したい場合には「A及びBは、C又はDのことをしてはならない。」とする方が適当となる。
これらの接続詞は、AとBを選択的に並列させようとする場合に用いるが、両者の違いは「及び」と「並びに」の関係と同じように、並列させようとする字句の間に段階があり、その大きな語群を選択的に連結する場合には「又は」を、その大きな語群の中の小さな選択のときには「若しくは」を用いる(「法又は定款」、「事業の全部又は一部を休止し、若しくは廃止したとき」)。なお、選択的連結法が二段階以上になるときは、小さな連結である「若しくは」を重複して用いるが、併合的連結の場合は、大きな連結である「並びに」を重複して用いる(「組合の事業の範囲外において、貸付をし、手形の割引をし、若しくは預金若しくは定期積金の受入をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したとき」)。
上記の他に条文等において使用されると思われる接続詞に、「あるいは」という用語があるが、これの用法は必ずしも一定していず、「若しくは」と「又は」で表現できない大きな選択的連結を、表現するために用いられることもあるが、一般的にはあまり用いられていないようである。なお、その他にも併合的連結の用をなすものに「かつ」という用語がある。これは明確な意味をもって用いられ、(「及び」、「並びに」と類似した意味でも用いられることがあるが)、A、B2つの連結される語が、互いに密接不可分であって、2つの語を一体として、初めてある意味が完全に表わされるというような場合に、その時の語感から「かつ」が用いられる。また、主として「かつ」の前後の2つの語句の連結に重点がおかれる場合にも用いられる(「資本の額又は出資の総額が1億円を超え、かつ常時使用する従業員の数が3百人を超えたとき」)。 その他にも接続詞が多々あるが、ここでは組合で使用される度合の多いと思われるものにとどめることとする。
これらの用語の用い方としては、まず「次に掲げる者」、「該当する者」などのように、法律上の人格を有するもの(自然人及び法人)を対象とする場合に「者」を用いる。 次に「物」は、「者」すなわち人格のある者を除いた、いわゆる有体物を総括する語である。 「もの」は、物又は者では表現できない抽象的なものを表わす場合及び人格なき社団等を表現する場合に用いられる。ある特定の者又は物を限定的に説明する際に、例えば、「何々である者であって何々に該当するもの」のように用いる。
「場合」は、「疾病により欠勤3日を超える場合」とか、「前条の示す場合」というように、仮定的条件又はすでに規定された事例を引用して、包括的条件を示すものとして用いられる。 「時」は、ある時点を瞬間的にとらえて表現する場合、例えば「……を受領した時、効力を発する。」というような場合に用いられる。 「とき」は、不特定の時などをあらわし、「場所」と類似した意味にも用いられる。 「とき」と「場合」を同一条文内に用いて条件をあらわす際には、大きな前提条件を「場合」、小さな前提条件を「とき」で示す。(「組合は、前項の請求がある場合において、変更の必要があると認めたときは」)。
これらの用語の用い方は、当事者間に取り決めのない場合とか反対の証拠がない場合に、ある事実について、定款、規約・規程自らが一応「かくあるであろう。」という判断を下す場合が「推定する。」であって、異なるものを他のものと認定してしまう場合は「みなす。」を用いる(「債権者が、前条第2項の一定の期間内に異議を述べなかったときは、出資1口の金額の減少を承認したものとみなす。」)。
「以上、以下」の用法としては、例えば「10万円以上」とか、「50万円以下」あるいは「9月1日以前1ヵ月」とか、「公布の日以後」というように数量的又は時間的比較をする場合に、「以」の字をつけて表現すると、起算点になる数量なり日時なりを含むことになる。すなわち「10万円以上」は、10万円を含み、「9月1日以前」といえば、9月1日を含むことになる。 逆に起算点を含まないように表現するには、「10万円を超える金額」、「50万円に満たない金額」あるいは「9月1日前1ヵ月」とか「公布の日の後10日」という表現する。これらの場合、「10万円を超える金額」には、10万円は含まれないし、「10万円に満たない金額」にも、10万円は含まれない。
この場合には、期間は即時から起算し(民法第139条)、所定の期間の終わった時点をもって終了する。例えば、「午前9時から3時間」と定めたときは、その3時間の期間は、午前12時に終わる。
この場合には、特約しない限り日の端数を加えない。すなわち、期間の初日は算入しないで翌日から起算し(民法第140条)、末日の終了をもって期間は満了する。したがって、「引渡しの日から6日間」と規定されていた場合の、その期間は現に引き渡した日(例えば7月10日)は計算に入れず、7日目(16日)の午後12時に満了したことになる。このことから、初日も算入したい場合には、その旨を判然と明文化しておかなければならない。 月又は年で期間を定めるときは、月の大小や年の平均を無視して暦にしたがって計算し、最後の月又は年において起算日に応当する日を求め、その応当日の前日を末日とする(民法第143条)。すなわち、前例の場合「引渡しの日から5ヵ月間」といえば起算日である7月11日の属する7月から算えて5ヵ月目の12月の応当日である12月11日がその日に当たり、満期日は、その前日の12月10日ということになる。この場合、その間にある月の大小は一切考慮に入れなくてよい。 なお、最後の月の応当日がないときは、最後の月の末日を満期日とする。例えば、起算日が9月30日で、それから5ヵ月間という場合は、5ヵ月目である翌年の2月30日が、最後の月の応当日となるが、この場合応当日は存在しないのでその月の末日すなわち2月28日あるいは29日がその満期日となる。 また期間の末日が祭日、日曜日その他の休日に当たり、その日に取引をしない習慣があるときは、その翌日を満期日とする(民法第142条)。したがって、国民の祝日や正月三カ日の休日などが満期日となるときには、その満期日は、これらの休日の翌日まで延長されることになる。 |
||||||||||||||||||||