組合の規約

7. 規約・規程作成上の留意点



規約・規程は定款とは異なり、法令に基づいて必ず設定しなければならないものではないが、一度設定されたときはすべての組合員を義務づける規則として、定款同様の拘束力を有するものである。
したがって、その作成に当たっては、定款同様明確な用語文章によって作成することが肝要であり、後になってその解釈に分裂が生じるようなものであってはならない。要はいかにして実効ある明確な編成条文にするかであるが、基本的には、次の2点に留意することが必要である。
  1. 「正確な表現」に努めること。
    規約・規程は文字・文章などの表現方法を媒介として、これらを通じて確定し、認識され、効力を発揮するものであるから、これらの表現方法の果たす役割は決定的である。作成する者の意図がどのようなものであれ、それが文字・文章を通じて表現される過程で欠陥を生じ、作成する者の意図するところが正確に表現されていなければ、でき上がった規約・規程は、その者の意図にかかわらず別種のものとなってしまう。

    規約・規程の作成に当たる者の第一に心がけなければならないことは、「表現の正確さ」つまり作成しようとする者の意図を最も正確に規約・規程の文字や文章の上に表現し、でき上がった規約・規程を読む人に誤解を生じさせないようにすることである。

    規約・規程の場合、法令と違いかなり具体的な内容を記述するものであるから、抽象的表現を用いる必要もないし、その規制対象も組合員あるいは組合役職員と、範囲が特定されているので、正確な表現をすることはそれほど困難なものとはならないであろう。

  2. 「わかりやすい条文」を書くこと。
    いうまでもなく規約・規程は、これを作成する者のみが理解、納得すればよいというものではなく、その規約・規程の適用を受け、これに従わなければならない組合員及び役職員がよく理解、納得できるものでなければならないものである。難しい表現を用い、後になって紛議が生じた際に、「総会で組合員全員に諮って同意を得たではないか。」といった強弁による押しつけにならないよう、組合員全員が十分に理解しうるだけの「わかりやすい条文」を心がけるべきである。

    条文のわかりやすさは、単に文字・文章の使い方だけではなく、その編成上の工夫(編別、見出しの活用等)によっても可能となる。目的規定を置いて、定款とのつながりや、規約・規程の全体の骨子を提示し、定義規定を置いて、あらかじめ使用する用語の概念を明確にしておき、各条文のはじめに見出しをつけて、それぞれの条文の内容を明示するなど、一寸した工夫が同じ内容の規約・規程を難しくもすれば理解し易いものにもする。文体を口語体にすることはいうまでもない。

条文も一つの文章である以上、まずい文章よりうまい文章であることにこしたことはないが、規約・規程の条文は、文章のうまさまずさより、「正確さ」と「わかりやすさ」こそがより大切である。規約・規程の作成に当たる者は、この点を銘記し、どんなに美しい文章であっても不正確でわかりにくい文章では、規約・規程としては何にもならないことを十分認識すべきである。