組合の規約

4. 規約・規程の法的性質



(1)定款と規約の違い
規約は、定款と同じように組合の自主的法規といえるが、次のような点において定款とは性質を異にしている。
  1. 規約を設定するかしないかは自由である。
    定款は、組合の存続する限り、これを廃止することは許されないが、規約は、その組合の自由な判断によって変更のみならず廃止することもできる。
  2. 規約の設定・改廃は、行政庁の認可を必要としない。
    定款を設定・改廃する場合には、必ず行政庁の認可を必要とするが、規約の設定・変更又は廃止には総会の普通議決があれば足り、行政庁の認可を必要としない。
  3. 規約は、定款に従属する。
    規約は、定款に比べて相対的に軽微な事項を内容とするものであり、定款に従属する性格を持つものである。したがって規約の内容は、法令はもとより当該組合の定款の規定に反するものであってはならない。
  4. 規約は、設立後に設定してもよい。
    定款は、創立総会において設定されなければならないが、規約は組合成立後の総会又は総代会において設定されてもよいため、そのようにして設定される場合もある。


このようにいくつかの点で、規約は定款とその法的性質を異にするとともに、定款との関係においては、定款の補充規定たる性格を有するものであるが、規約もそれがいったん設定された場合には定款同様に全組合員を拘束し、対組合員関係においては定款と同様の法的効力を有することとなる。

(2)規程の法的性質
規程という用語は、広い意味では定款及び規約をも含めた意味に用いられることもあるが、狭義では、定款及び規約を除いた場合の細部的規則(内規)を意味する。組合では、前述のように、規約は専ら総会において設定・改廃されるものとされているところからすれば、規程は狭義にこそ使用されるべきである。

したがって規約・規程を設定する場合には、前述のような区分にしたがって、それぞれの表題をつけるようにすべきである。例えば「役員選挙規程」は「役員選挙規約」と、「共同施設利用規程」は「共同施設利用規約」といったように、それが組合員の権利義務に直接関係する内容をもつものであって、総会の議決を必要とする場合にのみ規約とすべきである。

なお、「規程」と用いるべきところを「規定」としている事例があるが、「規定」とは、法令、定款、規約、規程に定められた個々の条項の定めを指すものとして、あるいはその定めを設定する意図を表わす動詞として用いられる用語であり、一定の目的のために定められた一連の条項の総体を表わす「規程」とはまったく異なる意味を有するので注意しなければならない。