- ■ 経理
- 組合の会計は、一般の企業会計とそれほど異なるものではありませんが、例えば、手数料、利用料、賦課金、加入金、持分、利用分量配当あるいは収支予算など組合固有のものがあり、また、組合の種類においても非経済事業中心の組合、経済事業中心の組合、企業組合、協業組合などがあり、会計も自ずから異なるものがあります。そこで、組合の経理の基準として、中小企業庁監修により、全国中小企業団体中央会が「中小企業等協同組合経理基準」を作成しておりますので、組合は、これを参考に経理を行うのが適切であります。
- ■資金および経費の調達
- 組合の基本財産としては、出資金がありますが、組合といえども1個の事業体でありますから、激しい競争に耐えるため、また、経済変動に備えるためにも、その充実に配慮すべきです。また、利益の処分に当たっては、いたずらに配当を優先することなく、内部留保に心掛けるべきです。
また、資金の借入れに当たっては、的確な組合員の事業利用予測を行うなど、充分な事業の見通しに基づいて借入れるべきですが、組合の系統金融機関として商工組合中央金庫が設けられていますので、これを利用するのが適切です。また、共同施設の設備資金については、政府機関として中小企業総合事業団があり、都道府県と分担して、有利な資金を貸しておりますので、これを利用するのが得策です。
次に、経費調達方法としては、賦課金と手数料等があります。賦課金は、事務所費、総会費、および教育情報事業など収入のない事業費に充てるため、組合員に賦課し徴収するものですが、均等割のほか、組合員の事業規模等による差等割によって徴収します。
手数料等は、主として経済事業を組合員が利用する際に徴収しますが、事業の利用形態によって、手数料のほか、利用料・使用料等の名称を付けています。また、物の売買の形をとる場合は、売買価格のなかに手数料を含め、手数料として区分して徴収しないことになります。
手数料や売買価格の決定については、“組合は儲けなくてもよい”という考え方で、いたずらに低い価額としないで、なるべく市価または市価に近い価格とすることが妥当です。それは、組合の内部蓄積の充実を図る、あるいは、いたずらに同業者を刺激しない等のために必要であるからです。そして、事業の成果は、年度末の事業利用分量配当によって組合員に還元できるからです。
- ■ 剰余金の処分
- 組合員の剰余金は、主として、組合員の事業利用によって生じます。そこで、組合の剰余金の配当は、組合員が事業を利用した程度に応じて配当する事業利用分量配当と、出資配当の二つが認められています。
事業利用配当は、組合の剰余金が手数料を取り過ぎたり、組合員に高く販売したりしたため生じたものという観点から、取り過ぎ分などを返すという趣旨で配当するものです。また、事業利用配当は、一種の割戻しの性格があるため、税制上、損金算入が認められています。
出資配当は、出資に対する利息という趣旨で認められているものですが、年にして出資の1割以内に配当が制限されています。
出資配当と事業利用分量配当の順位については、組合の主旨からすれば事業利用配当を優先すべきですが、実際の運営としては、出資を勧奨し資本充実を図るため、出資者への利子を支払うという意味で、出資配当を先にする場合が多くなっています。
配当は、法律に定める準備金等を積立ててからでないとできませんが、法定の準備金等には、法定準備金と教育情報費用繰越金とがあります。法定準備金は、資本の充実と不時の損失に備えて行うもので、出資の2分の1に達するまで利益剰余金の10分の1以上を積立てなければなりません。また、教育情報費用繰越金は、教育情報事業の重要性と、同事業が経費調達に難点があるために行うもので、利益剰余金の20分の1以上を翌期に繰越さなければなりません。なお、この繰越は、教育情報事業を行う組合にのみ課されるものです。
(注)
- 企業組合の配当には、出資配当と、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて配当する従事分量配当とがあります。
- 協業組合の配当は、出資配当のほか、如何なる配当もできますが、主なものとしては、均等割配当(最低保証)、実績配当(協業前の組合員の事業実績に応じた配当)、取引分量配当(一部協業の場合で、組合員が組合と取引した程度に応じた配当)とがあります。なお、出資配当には、年1割等の制限はありません。
|